起業支援プログラム採択プロジェクト

京都大学・三菱商事Startup Catapult

環境負荷を低減する次世代モノリス型精製カラムの実用化

事業領域素材
採択年度2024
支援状況支援終了

研究代表者プロフィール

金森 主祥(KANAMORI Kazuyoshi)

京都大学大学院理学研究科化学専攻 助教
フリューゲルズ株式会社 創業者/取締役CTO(兼務)

シリコーン系や有機–無機ハイブリッド系の多孔性材料を基盤とし、モノリス体の高機能化や新規分離精製技術の開発を先駆的に推進。持続可能な材料科学分野をはじめ、国際誌に多数の成果を発表。

事業化プロデューサー

宮本 利一(MIYAMOTO Riichi)

京都大学大学院理学研究科化学専攻 教務補佐/研究員(非常勤)
フリューゲルズ株式会社 創業者/代表取締役CEO(兼務)

プロジェクトの概要

医薬品やファインケミカル製造においては高純度化が不可欠であり、液体クロマトグラフィーによる精製が広く利用されている。しかし、従来法は大量の溶媒や充填剤を消費し、CO₂排出や廃棄物発生といった環境負荷が大きい点が課題であった。
本プロジェクトでは、大型化に成功したモノリス型シリカゲルを活用し、繰り返し使用可能な高効率精製技術を検証した。その結果、溶媒使用量・廃棄物の大幅削減や、過飽和状態の安定化によるハロゲンフリー精製の実現可能性を示し、持続可能な精製技術としての社会的有効性が明らかになった。

社会実装

高性能と低環境負荷を両立する新型カートリッジカラム

従来の液体クロマトグラフィー精製は、高圧ポンプや耐圧配管を備えた大型装置を必要とし、導入コストや安全性の面で制約があった。さらに、大量の溶媒消費と廃液発生による環境負荷も避けられない。本技術では、大気圧条件でも稼働しながら高速液体クロマトグラフィーに匹敵する分離能力を持つカートリッジカラムを開発した。直径1リットル程度のモノリス型シリカゲルを汎用的なフラッシュ精製用カートリッジに実装することで、既存の装置にそのまま適用可能とし、コスト低減と環境負荷軽減を両立する社会実装モデルを提示した。

研究の独自性

社会課題解決に直結する環境調和型精製技術

液体クロマトグラフィーは古典的技術ながら、現在も広く利用され続けている。しかし、従来法では環境負荷や資源消費が大きく、社会的課題として改善の余地が残されている。
本研究は、モノリス型シリカゲルの特性を最大限に活かし、従来技術の限界を超える効率的かつ再利用可能な精製法を確立した。特に、本研究成果が溶媒消費や廃棄物発生の削減に直結する点は、地球温暖化対策や資源循環の観点から高い意義を持つす。自然科学研究の成果を直接社会実装につなげ、環境負荷低減や人類の生活の質(QOL)向上に資する独創的な研究開発である。

将来の展望

京都発の次世代精製カラムで産業と地域に貢献

本技術を基盤に2025年9月に京都大学発ベンチャーを設立し、2026年度中の製品プロトタイプ提供をめざしている。従来のフラッシュ精製装置に接続可能なモノリス型カートリッジカラムを製造・販売し、研究用途のみならず工業用途への展開も計画している。特に、大型モノリスを活用したプラントスケールへの応用により、高性能フィルターとしての利用が期待され、産業界全体の環境負荷低減に寄与する。さらに、日本独自の精密なものづくり技術を京都から世界へ発信することで、新しい産業の育成、地域経済の活性化、人材育成に貢献し、持続可能社会の構築を後押ししする。

2025年9月時点