食料安全保障と温室効果ガス抑制を目指す無毒化ジャトロファ残渣を活用した新飼料開発プロジェクト
| 事業領域 | フード・アグリ |
|---|---|
| 採択年度 | 2024 |
| 支援状況 | 支援終了 |
研究代表者プロフィール

熊⾕ 元(KUMAGAI Hajime)
京都大学大学院農学研究科 応用生物科学専攻 動物機能開発学講座 准教授
地域で産出する食品製造副産物や農場副産物等を利用した畜飼料資源の開発、特に反芻胃由来のメタンや糞尿由来の窒素削減をめざした新規飼料資源および飼料添加物の探索を行っている。
事業化プロデューサー
瀧波 洋平(TAKINAMI Yohei)
日本植物燃料株式会社 経営企画室
プロジェクトの概要
本プロジェクトを通じて世界的な食料安全保障、温室効果ガス排出の両課題解決をめざす。近年、ウクライナ情勢をはじめとした地政学的リスクや地球温暖化を背景とした未曾有の気候変動・自然災害等、さまざまな要因により食料安全保障が脅かされている。申請者の研究グループは過去18年の副産物飼料化ノウハウを活用し、「新たな配合飼料の創出」を実現することで食料安全保障と地球温暖化の両課題に取り組みたいと考えている。具体には、品種改良により無毒化されたジャトロファと呼ばれる植物をインプットに反芻動物向け濃厚飼料の開発を行う。

社会実装
高タンパク・低環境負荷を実現する新飼料基盤
本プロジェクトは、地政学リスクや気候変動により不安定化する食料供給と、畜産由来の温室効果ガス排出削減という二大課題に挑む。品種改良で無毒化されたジャトロファ搾油残渣を活用し、反芻家畜向けの新しい高機能配合飼料を開発する。ジャトロファは大豆に近い組成を持ち、安定した増体効果が期待できるだけでなく、残存油脂成分が牛のメタン産生を抑制する可能性を有する。これにより、食料安全保障を強化すると同時に、畜産業からの環境負荷を低減する。得られた飼料は配合飼料メーカーへ供給し、持続可能な循環型社会の構築に貢献する

研究の独自性
高タンパク・低環境負荷を実現する新飼料基盤
本研究の独自性は、ジャトロファ残渣の無毒化と高機能飼料化にある。従来の大豆粕や魚粉に比べ、ジャトロファ搾油粕は平均55%を超える高タンパク質含量を有し、肉質や風味の改善に寄与するオレイン酸も豊富である。さらに、残存する不飽和脂肪酸はウシ第一胃におけるメタン生成を抑制する効果が期待され、環境負荷低減と生産性向上を同時に実現する可能性を持つ。また、荒地や少雨地域でも生育可能なジャトロファを活用することで、農地資源に依存しない安定供給を実現できる点も競争優位性となる。これらの特性により、既存飼料に対して革新性と持続可能性を兼ね備えた新規飼料基盤を提供できる。

将来の展望
あらゆる動物へのタンパク源の安定供給
起業を見据えまずは国内市場で乳牛・肥育牛向けに実証試験を行い、顧客企業とのオフテイカー契約を確立する。その後、月産8千トン規模の生産体制を構築し、既存大豆粕に匹敵するコスト競争力を実現することで、商業化を加速する。さらに、成長著しい「メタン削減飼料市場」(2031年に42億ドル規模へ成長予測)に参入し、アジア・アフリカを中心としたジャトロファ適地での調達を基盤にグローバル展開を推進する。将来的には安全性を確立したうえで、あらゆる動物、ヒトへの適用を探る。

2025年9月時点